レジ袋有料化の弊害

レジ袋有料化の弊害
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こもり人の提案

ランチタイムに混み合うコンビニで客が店員に文句を言っている。

温めた弁当が熱すぎて持てないからレジ袋をタダでよこせと怒っているようだ。

2020年7月から始まったレジ袋有料化の流れを無視するダイナミックな提案である。

きっと3年6カ月の間家に引き籠り、自然環境に配慮する社会の流れから孤立していたのだろう。

困った様子で「弁当用レジ袋は5円です」と説明する店員さんに対して「5円は高い。2枚買うと10円もするだろ!」と列に並ぶ誰もが思っていることを大声で叫んでいる。

購入した弁当は1個なので、2枚で10円という至極当然のことを強調する意味もわからない

「これ、カスハラだよね」 レジに並ぶ人がざわつき始めた。

この発言に焦ったのか、周りの目に堪え兼ねたのかわからないが、「二度と来るか!」と店員さんに暴言を浴びせて、弁当を手に店を出た。

しばらく争っている間にレンジで温めた熱々の弁当も少し冷えて、素手で持てる温度になったのだろう

コンビニの出店数は、全国で約58,000店、都内でも約7,400店だ。

この店舗の周りには、徒歩数分圏内に幾つかコンビニがあるので、散々騒いだ店舗にわざわざ来訪する必要はない。

そもそも、嫌な思いをした店員さん、レジで待たされたお客の全員が「二度と来るな!」と心の中で呟いたはずだ。

モヤっとすること

普段、折りたためるエコバックを鞄に忍ばせているが、弁当など底マチが広い商品は入らないので、レジ袋を買う頻度は高い

もちろん、5円のレジ袋に対して店員さんを罵ることはないが、商品によってはモヤっとすることもある。

例えば、大好きなクリスピークリームドーナツ「オリジナル・グレーズド ダズン(12個)」を買う時だ。

横に4個、縦に3個、計12個のドーナツが入った長方形の箱を傾けずに運べるエコバックを持ち歩く人はそうはいないだろう。

クリスピークリームドーナツでは「1ダズン買うと、もう1ダズンプレゼント」する神のようなキャンペーンを稀に実施しているが、Uber Eatsの配達員でもない私に、2箱を水平に持ち運べるレジ袋が必要かを聞くことに疑問を感じてしまう。

また、広い底マチと高さのエコバックが要求されるケーキも同様だ。

オリジナル・グレーズドなら箱の中でドーナツが少し動いてもそれほど問題ないが、ケーキは水平な状態で持ち帰らないと型崩れして、食べるときに残念な気持ちになるだろう。

取っ手が付かないキャリー箱を採用しているケーキ店は、レジ袋に入れることを前提として販売しているはずなので、レジ袋をつけない選択肢を撤廃すべきではないだろうか。

「どれだけドーナツが好きなんだ!」と叱られそうだが、ミスタードーナツも購入する商品や品数によって、取っ手がつかない紙袋で手渡されるが、鞄などの荷物で手が塞がっていると持ち帰るのが大変だ。

現在販売しているゴディバとのコラボドーナツだが、他の人がミスタードーナツの箱を持っているとCMが思い出されてほしくなる

今や食品以外でも紙袋の有料化が進み、商品を大きめのマイバックに詰めて持ち帰る人も増えたが、レジ袋や紙袋が潜在的に消費者に与えてきたプロモーション効果を失ったと言える。

これは、企業によっても大きな損失ではないだろうか。

デパートで憧れのブランド品を購入した後、マイバックに入れるとショッピングの高揚感がなくなるし、値が張る商品に対して数10円から100円程度の紙袋を購入させる行為も的外れである。

商品袋が与える販促効果やショッピング体験を重視するお店では、今でも持ち帰り袋に費用を求めることはない。

そうなると、大衆化された物や値段が安い商品はレジ袋を有料化するという暗黙知となり、その商品を扱う企業のみが声高に「持続可能な社会を目指す!」を強調してコストダウンを進める現状は滑稽だ。

国の各省庁においても、レジ袋、紙袋のすべてを有料化するのか、商品によって小売店の判断に任せるのか、そろそろ明確にすべきではないだろうか。

駅弁と手持ち袋

ご当地の名産をいただける駅弁は旅の楽しみだ。

どの弁当も箱の中に華やかな食材が詰まっていて、蓋を開けた時に幸せな気分になる。

先日も出張で幕の内風の弁当を購入したが、ビジネス鞄で片手がふさがっているので、お茶と一緒に弁当を購入するとレジ袋を買わざるを得ない

駅改札前で切符を取り出し、乗車券投入口に切符を入れて構内へ入場するわけだが、この間にレジ袋を肘にかけて持てないと困るからだ。

人気の崎陽軒「シウマイ弁当」新杵屋「牛肉どまん中弁当」など箱に具材が隙間なく詰まっている駅弁であれば、ビジネス鞄に垂直にいれても何とかなるかもしれないが、他の多くの弁当は見るも無残な状態になるだろう。

また、列車内で仕事をする時に食べ終えた弁当箱が邪魔だ。

私は、レジ袋で包んだ空の弁当箱を一旦座席前のポケットに入れておいて、降車駅ホームのごみ箱に捨てている。

以前から習慣のように続けていることなので、私にとってレジ袋は、弁当やお茶と同じく切っても切れない物なのだ。

言うまでもなく、車両に設置されたごみ箱に食べ終えた弁当箱を捨てることもできるが、列車内コンセントにつないだパソコンやスマホを鞄に戻し、弁当、ペットボトル、鞄を持ってわざわざ移動することが面倒くさい

大阪と神戸を30分でつなぐベイ・シャトル」の記事でも紹介したが、以前列車内のトイレに行って戻ると、見ず知らずの人が私の指定席に座っていたトラウマもある。

たまにバックやパソコンを席や荷物棚に置いたまま、財布や携帯電話のみ持参して席を離れる人を見かけるが、私には無理だ。気になってトイレどころではない。

今やパンツは、コンビニでもどこでも買える。荷物を盗まれるぐらいなら、多少なら失禁した方がましなのだ

新幹線で横に座ったおじさんが、座席前の編みポケットに食べ終えた駅弁をそのまま入れていたが、弁当から流れ落ちた具材の汁で「編みポケットを汚すかも…」と気になった。

新幹線が終点の駅に到着して、再び出発するまでの清掃時間は僅か7分間である。

座席前の編みポケットが弁当具材の汁で汚れていても見過ごす可能性があるはずだ。

書籍など次の乗車客の手荷物を汚してクレームを受けるぐらいなら、駅で販売する弁当にレジ袋をつけた方が効率的ではないだろうか。

資源の削減やサステナブル社会への共生は理解できるが、商品によってはレジ袋を含めた価格で販売すべきだろう。

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