老後の不安
最近、テレビや雑誌で “つみたてNISA (ニーサ)” の特集をよく見かける。
なぜ、これほど話題になっているのだろうか。
一言で言うと “老後の資産形成に有力な手段” のようだ。
「おいおい、老後は国が面倒を見てくれるはずだろう!そのために、スズメの涙ほどの給与から、会社と折半で18.3%もの厚生年金保険料を納めてきたではないか!!」
とプンプンされた皆さん、2019年に世間を騒がした金融庁の報告を覚えているだろうか。
「暮らし方にもよるが、年金だけでは老後2000万円不足するので、自助努力で資産形成をお願いする」という内容を平然と公表したのだ。
「老後の年金を頼りに高い社会保障費を払ってきたのに気でも狂ってるのか!!」と全国民がわめき散らせばよかったものの、メディアで少し取り上げた程度でいつの間にか沈静化。
その後は、粛々と「慣れ親しんだ貯蓄」と「慣れない投資」で資産形成が行われてきた。
多くのサラリーマン世帯は「退職金で何とかなるだろう」という心の支えもあったはずだ。
ただ、日本人が得意な貯金は、2024年3月19日のマイナス金利解除後でも、三菱UFJ銀行と三井住友銀行で年利0.020%、Paypay銀行で0.030%である。
毎月数万円貯蓄するだけでも大変な世帯で、この低金利で2000万円の貯蓄は難しいだろう。
欧米の人は「なぜ日本人は低金利の貯金ばかりするのか、投資で増やせばいいではないか!」と思うかもしれない。
残念ながら私たちは、これまで金融教育をまったく受けていないので、投資と言われても何から始めていいかわらかない。
また、元本が減るリスクを嫌う国民性なので、投資で資産を増やす文化がなかなか浸透しないのだ。
「生きる上でお金は大切だから、もっと自分で勉強すればいいだろう。何言ってるのかワカリカセン…」と馬鹿にされたとしても、それが日本の文化だから仕方がない。
当ブログの記事「値引きイズムの終焉」で紹介した一部の関西人マダムを除いて、人前でお金の話はしないし、どちらかと言えば下品にみられるので避けるよう教えられてきた。
どこか有名な出版社が、お金のことを学ばない日本人の心を “禅” や “武士道” のように紹介してくれることを期待する。
また、退職金を老後資金の頼みの綱と信じる人も注意すべきだ。
このご時世で「わたしは、ボスのどんな無理難題な指示でも、YESマンとして決して抗わず、企業の僕として35年働き続けます!」と宣誓できる人は多くはないだろう。
雇用流動化が進む日本では、嫌な上司の下で歯を食いしばって退職まで働くような時代ではなくなった。
転職への抵抗感も薄れており、苦労して内定を勝ち取った新卒も3年以内に3割以上が退職してしまうのだ。
昨年12月の朝日新聞によると、大卒・大学院卒で35年以上勤務した人の2022年退職金の平均は2037万円と2007年の平均から454万円も減っている。
今後、退職金制度そのものがなくなる可能性がある中、”退職金で老後を生き抜く” なんて考えはリスクが高すぎるだろう。
今回NISAに関して調べてみたが、改めて「老後は年金ではなく、自助努力による資産形成」を伝えてきた政府にものすごく腹が立ってきた。
特に若い世代は、公的年金制度の維持が危ぶまれる中、高齢者を支える費用負担は上がる一方だ。
「いい加減にしろ、何のために働いているかわからない!」ともっと声をあげるべきだろう。
新卒は貯金より新NISA
ここからは、冒頭でお伝えしたNISAが、なぜ「老後の資産形成に有力な手段」なのかを説明する。
繰り返しになるが、これまでの日本は ”老後は年金”、”お金の話はタブー” 思想が強かった。
そのため、突然政府から自助努力による資産形成をお願いされても「ふざけるな!」となってしまう。
このような経緯から政府は「投資の知識が十分になくても、貯金のように少しずつ積み立てるだけで、リスクを抑えた資産形成ができる」投資制度の導入に迫られ、採用したのがNISAなのである。
ご存じの通り、株や投資信託、外国為替証拠金取引、暗号資産など投資による利益には税金がかかる。
しかし、新NISAでは1800万円までの積立であれば、もうけたお金に税金を払わなくてよい。
税金を集めることが大好きな政府がここまで譲歩する優遇制度は稀で、国民の資産形成に協力する姿勢が伝わってくる。
つみたてNISAは投資期間の長さで資産が大きく増えるため、例えば、新卒23歳から定年65歳までの42年間、年利3%で運用できたら資産が倍になる。
つまり、毎月3.57万円 (非課税限度額1800円 / 504ヶ月) を貯金感覚で新NISAに投資して、利回り3%で運用できれば、複利効果によって老後の資産が2倍の約3600万円に増えるのだ。
もし、利回り5%なら5970万円、7%なら1億円と、新卒から少し頑張って貯蓄すれば「老後は億り人」になれる。
一般の株式投資では、利益に約20%の税金がかかるが、お伝えした通り、新NISAなら限度額まで非課税なので、すべてあなたのお金として使うことができる。
新NISAは、日本の社会保障制度に対して、暴動を起こしかねない若者への手厚い支援制度なので、なるべく早い時期から活用するべきだ。
「毎月3、4万円程度なら頑張れそうだが、何を買ったらいいかわからない!!」と癇癪を起す投資ベイビーも安心してほしい。
日本で購入できる積立投資信託は6000以上あるが、つみたてNISAで買えるのは、金融庁が長期、積立、分散投資としてお墨付きを与えた商品なので安心だ。
もちろん、儲かることが約束されているわけではないが、投資信託の知識が十分でない我々が選ぶより遥かに安心だろう。
例えば新NISAで人気がある投資信託商品eMAXIS Slim全世界株式 (オルカン)、eMAXIS Slim米国株式 (S&P500) は雑誌などで投資のプロも進めている。
このS&P500の平均利回りは、過去20年で約8.3%、過去30年で約10%である。
今後も同じような実績になるとは限らないが、過去30年にはバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックなど、歴史的な経済危機も含まれているため、将来の参考になるだろう。
新卒から退職まで毎月3.57万円、利回り7%で億り人とお伝えしたが、S&Pの運用実績から信じられない話ではないことが理解いただけたのではないだろうか。
上を目指すなら修羅になれ
「若者へのメリットはわかったが、X世代の私たちに対して新NISAはどうなんだ!」と、大人気無くまくし立てる紳士淑女の皆さんも是非始めるべきだ。
「死兆星はまだ見えていないにしても、我々が積み立て運用できる期間は限られている」
「その通りだ!!」
若者と比べて投資期間が短いX世代は、毎月3.57万円などの子供のお小遣い程度では億り人にはなれない。
矢沢永吉さんのように「上を目指す」なら、なるべく早いタイミングで運用額を大きくすべきだろう。
できればつみたてNISA最大額の月10万円、年間120万円に挑戦いただきたい。
「子供の学費や家のローンもあるのに無理!!」と奥さんに叱られたら「君はマミヤのように長生きできるが、俺には時間がない」と説得してみてほしい。
ものすごく怒られるか、人生の切迫感を共有できるかどちらかだろう。
無事年間120万円積み立てる修羅の道に進むことができた人は、支払い方法について考えたい。
「私はニコニコ現金払い!」などひょこりひょうたん島デパートの経営方針を掲げるのはもうやめて、カード払い一択にすべきだ。
新NISAの口座開設で各証券会社が、カード支払いのポイント還元で競い合っている。
SBI証券は0.5%から5.0%、楽天証券は0.5%から1.0%、マネックス証券なら1.1%という具合だ。
やはり注目は5.0%ポイント付与のSBI証券だろう。
こちらは誰でも5.0%になるのではなく、支払うクレジットカードの種類で決まる。
5%になるのは三井住友カード プラチナプリファードで、三井住友カード ゴールド (NL) は1%、三井住友カード (NL) は0.5%だ。
三井住友カード プラチナプリファードの年会費は3万3千円だが、年間120万円の投資信託をカードで支払えれば、6万ポイント (6万円) 獲得できるので、年会費無料どころか2万7千円もプラスになる夢のような還元に思えた。
しかし、これはクレジットカードでの積立額が5万円までの還元率で、2024年3月19日に発表された積立額10万円のカード払いに対するポイント還元率が大幅に改悪されたのだ。
SBI証券が連携する三井住友カードの発表によると、2024年5月買付分から10月買付分までは、クレカ積立10万円に対して5.0%のポイントが付与されるが、その後はクレジットカードの年間利用額に応じて最大3%に変更されている。
具体的には、年間500万円以上は3%、300万円以上2%、300万円未満なら1%だ。
例えば、つみたてNISA120万円だけをプリファードカードで支払う人は、1%還元となり1.2万円の獲得となる。
プリファードカードは100万円の利用毎に1万ポイントのボーナス還元があるため、合計で2.2万円になるが、これでは年会費3万3千円に対してメリットが感じられない。
端的に言えば年間300万円、できれば500万円以上をプリファードカードで決済できる人が優遇されるのである。
事実、年間カード利用額が500万円越えると、つみたてNISA払いだけでも3万6千ポイント還元され年会費を上回る。
更に、400万円のカード利用まで、100万円ごとに1万ポイントボーナスが付くので、追加で4万ポイントは確実にゲットできるのだ。
奥さんとの交渉で修羅の国へ進むことを決めたあなたは、ラオウ、トキの実兄であるカイオウと戦う覚悟があるはずだ。
NISAはもちろん、電気から携帯電話、日々の買物に至るすべてをプリファードへ集約し、奥義無想転生を習得できる500万円を目指してはいかがだろうか。