安さの裏に潜むリスク
ビジネス鞄や名刺入れなどは、年齢に見合った物を使いたい。
ただ、昨今の物価上昇、円安の影響でブランド品などおいそれと買えないのが現実だ。
旗艦店や百貨店ならお目当ての品を見つけられるが、家計のお財布事情を考えると「少しでも安く買いたい」が本音だろう。
そこで、BUYMA (バイマ) など世界のファッションアイテムを現地のショッパーが買付できるメリットを活かした通販サイトが選択肢にあがる。
バイマは、世界各国の個人バイヤーがサイトへ出品する商品を直接買えるため、デーパートの店頭販売価格より15%から30%程度安い。
また、ブランドショップの多くが季節ごとに大規模なセールも実施するため、時期が合えば半額も夢ではない。
ただ心配なのは「本物が届くのか」、「品質問題があった場合はどうするのか」ではないだろうか。
バイマの出品者は “一般パーソナルショッパー”、バイマが認定した “プレミアムパーソナルショッパー”、法人として出店する “ショップ” に分類される。
これまで何度かバイマを利用したが、多少値段が高くてもプレミアムパーソナルショッパーを選んできた。
豊富な取引実績で安心できること、現地店舗との関係性を築いてるので「セールなどの掘り出し品を手に入れる可能性が高い」と考えていたからだ。
バイマ鑑定サービスの内容
「長年使用した鞄がくたびれてきたので、今年は変え買えよう!」と思い今年1月にバイマサイトを訪れてみたが、お目当ての商品はプレミアムパーソナルショッパーから出品されていなかった。
一般パーソナルショッパーから30%引きで出品されているが、少し値が張る商品なのでしばらく購入を迷っていた。
そこで、ネットの口コミやバイマサイトで情報を確認すると “偽物販売防止の取り組み” として、鑑定サービスを使えることがわかった。
バイマ事務局への送料は負担するようだが、鑑定サービスは無料で利用できて、一週間程度で結果が連絡される。
仮に鑑定の結果が「偽物」と判定された場合、代金は全額返金、送料もバイマで利用できるポイントに返還されるので「これは安心だ!」と思い、一般パーソナルショッパーと初めて取引を実施した。
念のため、購入前に「鑑定サービスを利用すること」、「鑑定サービス結果が出るまで取引を完了できないこと」を連絡したところ「問題ない」との返事だったので取引を進めた。
無事商品も届き、傷や初期不良がないか入念にチェックしてみたところ問題なさそうだ。
早速 “鑑定ID” と “気になった点” を書いた紙を商品と一緒に段ボールに入れて、東京都港区赤坂 青山一丁目ビルにあるバイマ事務局 鑑定サービス係へ送付。
数日でバイマカスタマーサポートから「本物保障の対象」と一文だけ書かれた判定結果がEメールで届いた。
これでは、何を信頼すれば良いかわからないので「どこをどうチェックしたのか」、「鑑定書のようなものを発行できないのか」と事務局へ問い合わせてみた。
すると「鑑定サービス判定時のチェックポイントや判定結果に関する詳細は、防犯上の観点から答えられない」、「鑑定書などは発行できないが、バイマは日本流通自主管理協会 (AACD) の商品取扱い基準に準じ、厳正な判定を実施しているので、商品を安心してお受け取り下さい」との返事が届く。
安心の鑑定サービスをホームページで宣伝していた割に対応はイマイチと感じつつも、商品の受取りを完了させないと、出品者に代金が振り込まれず迷惑がかかるので、バイマの鑑定結果を信じて取引完了を進めた。
4つの安心保障など役に立たない
見た目も美しい新しい鞄を満足気に使っていたところ、数回の利用で突然鞄の皮に不具合が発生した。
特段アルコールで拭くようなこともなく、また雨に濡れたこともない、普段使いの状況で皮の色が変色、表面の皮が剥がれてきたのだ。
あまりの衝撃で、都内に店舗を構えるブランド旗艦店で状況を見ていただいたところ「他店の品物なので何とも言えないが、数回でこのような状況は見たことも、聞いたこともない」と言われる始末。
早速、バイマカスタマーセンターに状況を連絡したところ「バイマで本物保障の対象が確認されていること、また取引完了しているため、キャンセルや返金などの支援はできかねます」との信じられない回答が返ってきた。
「バイマ鑑定サービスの詳細は教えない、また、使うまで不具合が発生しない商品を、受け入れ時に拒否することはできないのではないか!」と伝えてみた。
しかし、事務局は「バイマ側では何もできないので、出品者と直接話してほしい」の一転張り。
苦情マニュアルのような通り一遍の文面で、誠意のかけらも感じない最悪のカスタマーセンターだ。
このような商品を販売するような出品者なので、あまり期待はできないだろうと思いつつも、念のため不具合の写真付きで状況を伝え、修理、もしくは返金を依頼してみた。
出品者からは「当社の商品は本物。受取後は返金・修理など一切受け付けない。また、仕入先がわかるレシートの公開もできない。」など予想通りに回答であった。
バイマ事務局、出品者ともに共通していた言い訳は「偽物と証明できたのか?」である。
これは、正規ブランド店の工場に商品を送って「これは当店の商品ではないため修理できません」のレターをもらわなければならず相当困難だ。
また、ブランドによっては、並行輸入品の鑑定や修理を受けつけないため、そもそも証明する手段がない。
今回不具合品を購入した当事者として、バイマ鑑定などまったく意味がなく、商品受け入れ後に問題が発生しても一切支援しないバイマ経由での商品購入はリスクが高すぎると感じた。
私と同じようにバイマで同じような状況に遭遇し「人生の勉強」として泣く泣くあきらめた人もいるかもしれないが、今回私が取った解決法をお伝えしたい。
バイマ事務局、出品者に相談した結果「彼らはまったく役に立たないので時間の無駄!」と感じた私は、クレジットカードのショッピング保険を使えないか検討した。
事故発生の状況連絡、書類を揃えるのが少し面倒だったが、結論を言うと、購入金額から3千円を差し引いた支払額を1カ月程度の期間で保障頂けた。
私がショッピングで使ったカードは、本ブログ「少しの貯蓄で億り人になる方法」で紹介した “三井住友カード プラチナプリファード” でつみたてNISAの支払いカードとして契約したものだ。
保険会社の対応も良く、補償金も直ぐに振り込まれたので、既に都内の正規店で製品保証が付いた同じ鞄を購入できた。
今回の取引では「バイマ4つの安心保障」にも入っていたが、使用後の品質不良には何も対応してくれない。
実際に使ってみると「何かおかしい…」と感じたり、個人ショッパーが在庫として、部屋や倉庫に保管する内に商品の劣化が進み、問題が発生することは珍しいことではないだろう。
リスクが払しょくできないネット販売では、最後の安心としてショッピング保障つきのクレジットカードで決済することを強くおすすめしたい。